KKHplot:依頼ぼしゅう中
何にもなりきれてないメモ書き、アズタ視点
「依頼が全然来ないので!チラシ作ろうと思います!!!」
と思い立ったんだが、まず問題にぶつかった。
ここ、ギアンロイドにおける「文字」というのは非常に曖昧である…。
そもそも共通の文字が存在してるかどうかも怪しい。
ヒトが住む空の国には、フクザツな文字があると聞いた。
どっか遠くにあるカービィ族の王国でも、文字が存在するらしいな。
「お前さ 文字書ける?」
「かけるよ! これがお日様! これがお月様!」
そういってカイレはクレヨンで紙に記号を書き始めた。
「おう…そのくらいわかる…でもこれって文字なのか? 絵だよな?」
「……もじ…もじだもん」
もじもじすんな。
遠巻きに見ていたタッシュが突然こっちにやってきた。
「アァ!? 文句あンのか!? 絵とかモジとかナンダ!?
伝わればいいんじゃネーノカ!?」
「あはい、はいすんません… ごめんなさいって…」
すげー睨んでくる。短気だなぁ。
そろそろ夜太郎が帰ってくるのでトコヨに戻ることにする。
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「“解決屋” までは書いた…あと、トコヨのマーク」
トコヨの看板と同じのをあしらっておけば分かるだろうか。
「お仕事募集中ってどやってかくの?」
夜太郎はソファでゴロゴロしながら口だけ挟んでくる。
「しらん お前も考えろ」
「まずは“困ってる人”というモジを書いてみよう」
夜太郎はぴょん、と跳ねてテーブルの上に乗ってきて、さらさらと何が書いた。
「で、“ほしい”を書く…できた」
その後、テットウ地区の外れにある「ペイントや」に持ち込んで印刷してもらった。
ペイントのコピー能力を持ってるカービィが、いろいろ印刷してくれる店だ。
これでちょっとは依頼増えるだろう。そう思ってた俺は甘かったようだ。
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今、俺はトコヨの軒先に、小さいデスクを出して座っている。
目の前には長蛇の列。
「たくさん食べたいのに10杯くらい食べたらお腹いっぱいになっちゃうんです…どうしたら…」
デカいカービィがおにぎりを食べながら話しかけてくる。
「いやお前さ、それは十分食べてる! たくさん食べたことにしとこう! な! はい次」
「ラーメンの作り方を知りたいなあって思ってたら眠れなくなっちゃって…」
次はヘルメットかぶった黄色のカービィ。目の下にクマができている。
「ラーメン屋に行け、そして見ろ、技を盗め、以上!」
「サイキン…油のキレが悪クなっテキテ…」
キカイ族。ギシギシと肩を鳴らしながら…
ってちょっと待て。何かおかしいだろこれ。
「だああああああああ!お悩み相談所じゃねーーーーーーーーーーーーーーーーんだよウチはよ!!!!!」
夜太郎がペタペタと歩いて様子を見にきた。
「のほほ…すごい行列! ちょっとまちがって広まってしまったようだな…
ま! 小遣い稼ぎにはちょうどいいでないの〜」
「待て…なんでさっきから俺ばっかり!?」
「だってアズタくんの方がお悩み聞くのうまいし 多分」
「待てお前 雑におだてて去るな おい!! 逃げるな!!」
「のほほ! ちょっとパトロール行ってくる!」
「………」
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夕暮れ時。客足もだいぶ引いた。
疲労困憊だ。机に伏せる俺の背後から会話が聞こえる。
「夜サン……素直に解決屋の斡旋所にクレバイイじゃないデスカ…」
仕事回しマスよ? と、キカイ族が一言。
そのとなりで夜太郎はゴネている。
「やだやだぁ〜、おいらあそこ嫌いだもん〜コワいヤツいっぱいいるしさ〜
チュウカイリョウいっぱいとられるし〜〜」
おい…そんなのあったのかよ。聞き捨てならんぞ…
あとで会議だな。
(おわり)