うしみつどきメモ

オリカビ/創作/なんかアレですダラダラ書くとこ

世界のコアにまつわるメモ(2,3,4)

「なんだ?依頼か?」

 

表へ出ると3体の球体が並んでいた。
左から順に黄、赤、緑色。

 

「よう!ヒト!!」
「なあ!ここって解決屋だろ?」
「ぼくらの悩みを解決してくれ!」

 

どのカービィもそれぞれ少し薄汚れた布や帽子を纏っている。こりゃ裏路地かどっかの輩だな。夜太郎に押し付けたいが、あいにく出張中だ…

 

「はぁ…金かかるけどいいのか?」
「お金かかる?!金かかるってよ親分!」
「なにぃ?!?!」

 

連中はわざとらしくリアクションを取ってみせた。

 

「しかたねえな…これで足りるか?!」

 

そう言って親分、と呼ばれた黄色のカービィは帽子をひっくり返す。
キャラキャラ、と音を立てて金属部品が地面に落ちる。デカめのナットがいくつか。径は20くらい。それから小さい寸切りのボルト。あとはおそらく鉄製の重しか何か。ざっと計算してみる。450G(グルム)くらいか。

 

「んー…依頼内容による」

 

連中はキラキラと目を輝かせているので若干胸が痛むが、正直言って今日の晩飯代にもならんぞ…
ぴょん、とカービィたちは跳ねる。

 

「依頼内容次第では受けなくもない、って意味だ…残念ながらそんな値段じゃ おつかいくらいしかできねーぞ?」
「良い!良いね!ちょうど良い!」
「ただのおつかいだからダトウだな!」
「やさしいなお前ー!」

 

待て。まだ話を受けるとは一言も…。
言い淀む俺に構わず3体のカービィたちはずかずかと事務所に入ってくる。
黄色は勝手にソファに座りやがった。赤と緑は部屋の中をうろちょろしている。

 

「…で?一応聞くけど、なんだって?」
「カンタンだ!“コードを持った奴”が来たらコレを渡してくれればいい!!!」

 

コード。
コードって何だ?

 

「いつになるかわからないよ!」
「でも、君が一番近そうだから!!」
「おいおい待ってくれ…何が何だか」

 

ぽいっと投げてよこしてきた物は、小さな小瓶。
中には無色透明の液体が入っている。

 

「あ、絶対に開けちゃダメだぞ!」
「「“そのとき”が来るまで!」」
「おい…これは、キケンなモノか?」

 

ふるふる、と黄色は首を振る。

 

「なあんにも。」
「実は、ただの水!」
「はあ?」
「でも、それを持っていることが、大事なのである!」
「そして、しかるべきタイミングで、渡すことが大事なのである!」

 

えへん、と威張っている三体のカービィ
わけがわからん。

 

「割ったり、こぼしたりしなきゃ大丈夫!」
「倉庫の奥にでも、しまっといてくれ!」
「待て待て、何でもう帰ろうとしてるんだ?!誰に渡すか、もうちょっと詳細をだな…」
「へーきだ!その時が来たら、おのずとわかる!」

 

入り口で、黄色がくるりと振り返って言う。

 

「ほいでは、たのむぞう!」

 

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「で?みつかった?」

 

黄色のカービィはててて、と走りながら。
そのあとを追うのは緑と赤のカービィだ。

 

「もちろんです親分!」

 

赤のカービィは、帽子の中から何かの紙切れを取り出し、ひらひらと風に当てる。

 

「れいぞうこに貼ってあったから、すぐわかったのだー!」

 

緑のカービィは、ぴょんと跳ねる。

 

「おーけい!これで”ほころび“は消えた!」
「あいかわらずの、草の根うんどーだな」
「じみちだなーー」

 

きゃはは、と笑いながら3つの丸い影はギアントロイドを去る。
トコヨから一枚のメモが消えていることに、誰かが気づく由もなく。
平穏に時は過ぎゆく。
やがてあの小瓶も、物置の奥で埃をかぶり、ゆっくりと忘れられていくだろう。

 

fin.